外資系金融の仕事内容や特徴

外資系金融とは

外資系企業とは資本の3分の1以上を外国法人あるいは外国人が持っている企業のこと。外資系金融には投資銀行、証券会社、保険会社、クレジットカード会社があり、それぞれ仕事内容が異なるのが特徴です。社風もさまざまで、外資系らしくシビアでドライな会社もあれば、日系企業に近いアットホームな会社もあります。ここでは、外資系金融の仕事内容や年収、転職方法について解説します。

外資系金融の仕事内容と特徴

外資系金融は以下の4つに大別されます。

投資銀行

銀行と名がついているものの、一般的な銀行のイメージである預金業務は取り扱いません。企業に対し、資金調達やM&Aのサポートを行うのが主な業務です。

証券会社

証券会社も投資銀行と似ていますが、お金の流れが異なります。投資銀行は資金調達を行う会社の株を一旦自社で引き受けますが、証券会社が担当するのは投資家間の取引を仲介する業務です。

対象に違いがあるものの、投資銀行と証券会社を兼ねている会社もあり、投資銀行と証券会社は同じカテゴリーで扱われることが多いです。

保険会社

日系保険会社と同じく生命保険と損害保険の商品を法人や個人向けに販売する仕事です。日本の生命保険会社では生保レディと呼ばれる女性の保険外交員が多いですが、外資系保険会社では生保・損保共に男性も多く営業活動しています。

日本の保険商品は生保・損保共にあらかじめ保障内容が決められたパック商品が多いですが、外資系保険会社ではクライアントに合わせた保険をオーダーメイドで組み立てるのが主流です。クライアントのニーズを聞き出し、必要十分な保険プランを提案する必要があります。

クレジットカード会社

クレジットカードの発行枚数を増やし、クレジットカードが使える加盟店を増やすのが主な仕事です。クレジットカード加入促進キャンペーンを行うなど顧客を増やす一方で、顧客の信用調査や滞納者への督促も欠かせません。セキュリティ強化や不審な利用への監視など、安心してカードを利用できるようにするための業務も行います。

外資系金融の年収

外資系金融は年収が高いイメージがあるかもしれません。事実、20代で年収1,000万円を超えることも可能です。

外資系金融の給与はベース給とインセンティブ給があり、インセンティブ給の割合が高くなっています。日本の企業ではベース給が主流で、どれだけ成果を上げてもインセンティブ給がもらえないことが多いです。外資系のインセンティブ給には基本的には上限がないので、実力次第で大きく稼ぐことができます。

一方で、日本企業のような福利厚生には期待できません。雇用保険、厚生年金、健康保険はありますが、住宅手当や生活サービスへの補助はないことがほとんど。残業代や退職金もありません。

年俸制のため、業務成績によって年収が上下します。高い年収をキープするためには成果を出し続けなければならず、安定を求める人にはおすすめできません。

外資系金融の職種と必要なスキル

外資系金融の中でも特にメジャーな投資銀行を例に、職種と求められるスキルを詳しく解説します。

IBD部門

IBDとはInvestment Banking Divisionの略。投資銀行を代表する部門で、企業の資金調達の提案や、M&A(企業売買)のサポートを行います。クライアントに提案を行うには膨大な資料を用意する必要があるため、若手のうちは特にハードワークになりがち。タフな体はもちろん、長時間の思考に耐えられる頭脳も必要です。

マーケット部門

株式や債券を銀行・保険会社などの機関投資家に売買する部門。IBDは提案次第で他社に差をつけることができますが、マーケット部門で売買している株式や債券は他社と違いがありません。そのため、営業力で他社より抜きん出る必要があります。

自社の資金を元にトレーディングを行うのもこの部門。マーケットが開いている時間は複数のモニターを監視しなければならず、気が抜けません。高い集中力と判断力が求められる部門です。また、時差の関係で日本時間の夜中や明け方に外国のマーケットが開いており、外貨や外国株式などはそのタイミングで売買を行う場合が多いため、時には徹夜状態が続くことがあります。

リサーチ部門

株式市場や為替の動きを分析し、今後の展望をレポートします。IBD部門やマーケット部門はリサーチ部門の分析結果をもとに提案や営業を行うため、責任重大です。探究心や分析力が求められます。金融市場では政治・経済・心理・数学など様々な要素が複雑に絡み合っているので、その動向を分析し利益へとつなげるためには幅広い分野に渡る知識が必要とされます。

アセット・マネジメント部門

顧客から預かった資産を増やすのがアセットマネジメント部門の仕事。会社によってはアセットマネジメント部門は切り離して別会社として運営しています。

ほかの部門と比べると比較的ゆるやかでワーク・ライフ・バランスが保ちやすいと言われていますが、顧客の資産を減らしてしまっては収益が得られません。ほかの部門と同等、あるいはそれ以上に豊富な金融知識が必要です。そして、リサーチ部門と同様幅広い分野に渡る知識を基に市場の動向を読み解き資産運用に活かす必要があります。

外資系金融で求められる人材像

外資系金融で求められる人材とはどのような人材でしょうか。

判断力にすぐれている

株式市場や為替相場は刻一刻と変わるものです。一瞬の判断ミスが大きな損失になることも少なくありません。何かあればすぐに対応できる判断力が求められます。

判断力を身につけるためには普段からの勉強や情報収集が欠かせません。向上心を持ってリサーチを続けていける人材が求められます。

高い英語力でコミュニケーションが取れる

外資系金融にとって英語力は必須です。顧客に説明するときも、社員とやりとりするときも、細かなニュアンスの違いが意識のずれを招いてしまいます。

単に英語が話せるだけでなく、グローバルなマインドを持っているかどうかも試されます。国際情勢にも意識を向けて、ネイティブクラスの英語力を目指すことが必要です。

大局を見渡す力がある

株式市場や為替相場は国際情勢や社会の動きの中で変化します。金融分野にだけ注意を払うのではなく、広い視野を持って状況を見極めなければなりません。

今だけではなく、将来に意識を向けるのも重要です。リーマンショックやコロナショックのような事態はいつ起こるかわかりません。大きな変化が起こったときにどうするか、日ごろから想定しておくことが大事です。

外資系金融への転職方法

外資系金融に転職するためには転職サイトや転職エージェントを利用するのが一般的です。外資系にこだわるのであれば、外資系に特化したサイトが有効でしょう。

未経験でも外資系金融に転職することは可能ですが、外資系金融そのものの人気が高いため、経験があってもなくても狭き門であることは間違いありません。年齢によってもチェックされるポイントが変わってきます。

20代前半

まだ社会経験が浅い20代前半では、将来性が第一です。有名大学を出ていれば、そこに至るまでの努力ができる人材ということで有利に働くでしょう。英語力やビジネスマナーも必要です。まだ完璧でなくても、将来的に仕事に合った能力を身につけていけそうかチェックされます。

20代後半

一度は就職を経験する年齢のため、前職で身につけた実務能力がチェックされます。英語力も日常会話レベルではなく、ある程度のビジネス会話が求められるでしょう。

30代以降

年齢が上がれば上がるほど、未経験者に厳しいのは事実です。逆に金融関係の仕事経験があれば、即戦力として期待されます。金融関係の企業ではなくても、営業や企画で一定の成果を残していればアピールポイントになるでしょう。

30代以降の転職では、年下の社員が先輩や上司になる可能性があります。そのような場合も上手くやっていく謙虚さやコミュニケーション能力が重要です。社風になじむかどうかもチェックされるでしょう。

外資系金融でなにがしたいか考える

外資系金融といってもカテゴリーによって業務内容が違います。投資銀行の花形部門でバリバリ働きたいのか、もう少しゆるやかに働きたいのか、仕事内容を吟味するところからはじめましょう。

会社によっても社風はまったく異なります。相性もあるので、気になる企業だけに絞らず、同じカテゴリーの企業を幅広くチェックしてみるとよいでしょう。
 


この記事を書いた人

F様

大学卒業後(法学士)約25年に渡り外資系航空会社、高等教育機関国際関係部門、ドローン(無人航空機)スタートアップ等でマーケティング・事業開発・セールス等に従事。現在はフリーランスとして多様な業界業種のビジネスコンサルティングを手掛ける。
事業戦略から実務まで幅広い守備範囲を有し、限界まで脳みそを絞って考え抜きクイックにアウトプットにつなげるスタイルが特徴。また、外資系企業・国際業務経験で育んだ国際感覚と英語力を駆使し、常にワールドワイドな視点からのコンサティングを提供している。

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