外資系・グローバル企業インタビュー Vol.12 ヒルトン・グランド・バケーションズ

<会社紹介>
ハワイなどのリゾート地をはじめ、世界に「タイムシェア・リゾート」という1週間単位で所有できるバケーションスタイルを展開。「オーナー」と言われる顧客は世界で194,000組を超える。ヒルトン・グランド・バケーションズは2017年現在、25周年目を迎える。

1.これまでのキャリアパスと現在の仕事内容を教えてください。

大学卒業後は、インターンとしてノースウエスト航空に3か月間勤務し、素晴らしい経験をさせていただきました。その後、同社より情報テクノロジーを扱うビジネスアナリストのオファーをいただき、正社員として働き始めました。多くの方とお会いするチャンスがあっただけでなく、データを読み取りそれをビジネスに生かす方法を学べたのは、キャリアとしては最高のスタートでした。

ミネソタの本部で数年間勤務した後、日本で本部と支社のシステムをつなぐという、会社にとって新たなチャンレジであり、私自身にとっても非常にやりがいのあるプロジェクトに誘われたときは、「もちろん!」と即答しました。各国の支社が所有するデータと本社のデータ管理が煩雑になりやすかった当時、私はその日本支社で本社とを繋ぐデータ管理をサポートする任務で来日しました。そのまま日本に残るよう要請があったので、価格設定、収益管理、セールスプランニング、セールス分析まで担当しました。

その後営業部のトップとなり、マネージング・ディレクターに就任しました。それからノースウエスト航空の日本支社長となりましたが、ノースウエスト航空とデルタ航空の合併後は、デルタ航空のアジア拡大のために私はマネージング・ディレクターに任命されました。

6年ほど日本をベースにアジア全域を統括し、デルタ航空の仕事や文化、そして仲間も大好きだったのですが、2015年9月、ヒルトン・グランド・バケーションズ(以下、HGV)にバイスプレジデントとして転職。昨年の12月にシニアバイスプレジデントに昇格しました。今はHGVの将来の計画を立て、社員(以下、チームメンバー)の士気を高めながら日々挑戦し続けています。

HGVは今年の1月にヒルトン・ワールドワイドから独立しました。ヒルトンブランドの1つであることに変わりはありませんが、経営上の柔軟性が増したことでオペレーションの効率化を図れるよう、日々邁進しています。とても、やりがいがあります。

2.HGVに入社した経緯を教えてください。

ヒルトンブランドの認知度や、世界的に高い水準のサービスを展開していることに惹かれましたし、ノースウエスト航空からHGVに転職した友人に話をよく聞いていました。ただ入社に至った一番の理由は、企業として象徴するもの、そして将来性です。私が採用された当時、日本やアジアでの拡大の重要性や、日本で強固なオーナーシップの基盤があることを聞いたのが印象的でした。

会社と一緒に成長していけると思いました。そして、バケーションを扱う会社とはなんて楽しい仕事なんだろうと思いました。余談ですが、私は誰もがバケーションを取るべきだと思っているので、社員にも積極的に休暇を促しています。その結果、弊社の平均残業時間は約3時間です。

フレックス制を導入しており、例えば12時間仕事をした日があれば、翌日は4時間など、バランスをみながら調整して勤務することも可能です。重要なのは何時間働いたかよりも「仕事を終わらせたのか」なので、HGVではチームメンバー一人ひとりのプロダクティビティ(生産性)を評価しています。

3.タイムシェア・リゾートの認知のためにどのようなことに取り組まれていますか?

素晴らしい商品ですが、まだまだ日本マーケットへの認知度向上に可能性を感じています。現在、日本在住の54,000組のオーナー様から高い評価を得ており、さらなるニーズが期待されています。北海道から沖縄まで日本中にマーケティングブースと現在7箇所のセールスセンターとなるバケーション・ギャラリーを設置し、お客様との接点を作っています。

マーケティング手法の大きな割合を占めているのがお客様と直接コミュニケーションをとる、ダイレクトマーケティングです。まず対面でいくつか質問をし、見込み度合いを測ります。興味をもっていただければ、アポイントを取って詳細に話しをする段階に移ります。

広告だけ見ただけであったり、初めて会った人の話を聴くだけでは、バケーション・オーナーシップや商品の良さについて理解し難いと思います。そこで、バケーションというライフスタイルやバケーションのある人生についてお話し、そこからさらに興味をもっていただけたら、バケーション・ギャラリーでの説明会にご案内します。そこでセールスチームが90分間の商談をし、バケーション・オーナーシップについてご説明します。

空港などバケーションが好きな方や空港やショッピングセンターなど、ご旅行好きな方やファミリー層が多くがいらっしゃる場所で、私どものブースに目を留めた方がいらっしゃるかもしれません。マーケティング手法にはその他、テレマーケティングや、ウェブ集客、さらにSNSを使ったキャンペーン、マーケティングパートナーとのコラボ企画などがあります。

マーケティングパートナーは商品を共に宣伝し、ウィンウィンになれる航空会社やカード会社などです。弊社のターゲット層としては、ある程度幅をもたせていますが、ハワイをはじめ海外旅行がお好きな方で、可処分所得が高い方などになります。大人数で利用されるためペントハウスを購入される方、また弁護士や医師の方も多くいらっしゃいます。お客様全員が素晴らしいバケーションをお楽しみいただけるように、各々にマッチした、ご購入いただきやすい価格帯や物件の商品プランをご用意しています。

4.ほかの企業との違いで驚いたことがあれば教えてください。

企業文化です。企業がうたっているスローガンの本当の意味を考えることはあまりないと思いますが、ヒルトンは企業文化をよく口にするので驚きました。企業文化を本気で考えるようになってから、前職の企業文化の意味も理解しました。

家族やチームワークを大切にするコアバリュー(基本的価値観)は創業者のコンラッド・ヒルトンが提唱したものですが、我々はホスピタリティービジネスに携わっていますので、チームメンバーも顧客であるオーナー様も、両方ハッピーであってほしいと願っています。

そういった環境作りを推し進めていますので、アジアの全社員が集結して先日開催した全社会議でも、バリューやミッション、ビジョンを中心に、チームで達成する重要性について話しました。共有した内容は、2017年を通じてアクションにつながっていくと確信しています。

5.その全社会議はいかがでしたか?共有できる今年の目標はありますか?

プレジデント&CEOのマーク・ワンからのビデオメッセージでスタートし、チームメンバーへの感謝や今後の方向性を伝え、私からは全体的な目標を話しました。続いて、各部署から目標やゴールをリーダー達がステージ上でそれぞれ発表し、様々なアクティビティをチーム一丸となって実行した様子を見て、まさに全チームメンバーが繋がった!と実感しました。

どの部署のどのチームメンバーも重要な役割を担っているので、なぜ良い結果を出すことが必要なのかということを今一度思い起こす機会になったと思います。「目標」というと、収益目標等を連想されるかもしれませんが、私にとって収益は会社経営のための基礎的なものなので「目標」とはいいません。

私がいう「目標」というのは、チーム全体が”Takeoff”する(飛び立つ)ことです。HGVの人材がステップアップして、顧客満足の最大化やオペレーションの効率化を図り、ビジネスの全てが成長することなのです。そうすればチームメンバーもオーナー様もハッピーに導くことができるのですから。

6.マーケティング・エグゼクティブのチーム体制について教えてください。また社員にどのような成長サポートをされていますか?

マーケティング・エグゼクティブは、新卒から退職者まで応募可能です。情熱を持ってお客様とのコミュニケーションが取れるスキルセットが必要です。マーケティングチームは全体で150名程おり、5~15名のチームが地方にそれぞれ分散しています。リーダーやマネージャーが各チームに配置され、レポートラインはマネージャーやマーケティングのシニアディレクター、さらに私となります。昇格プロセスは、本人の能力と意思により決まります。

会社のサポートとしては、例えばパフォーマンス・マネージメント・システムというものがありますが、これは本人のパフォーマンスや希望キャリアにフォーカスした率直なディスカッションの場です。個人にフィードバックをし、今後のキャリアプランを立てるだけでなく、チームに貢献する姿勢についても評価します。

成績を上げていても、チームメンバーへの態度が企業文化と一致していなければチームにいることができません。研修にも力を入れており、リーダー向けの研修には72時間のプログラムがありますが、コーチングの重要性をシニアマネージャーやディレクターにも説いています。

その他 、契約社員向けに新しい制度で”Fast Path”という、6か月以内に正社員に切り替えられる制度を導入しました。研修や制度を提供し、チームメンバーが壁にぶつかったときにもすぐ立ち上がれるようサポートし、成長を促すよう取り組んでいます。

7.HGVに入社した際、どういったベネフィットがありますか?

世界的なラグジュアリーブランドで働けるということはある種ベネフィットであると考えます。もちろん、物理的なベネフィットとしても”Go Hilton”という社員とその家族、友人が宿泊費や飲食代の割引が受けられる制度もあります。また女性の管理職の割合も50%となっており、能力によって平等に評価され、相応の報酬が支払われます。

8.最後に求職者の方にメッセージをお願いいたします。

HGVは様々な意味で素晴らしい会社です。検討されている求職者の方に考慮して頂きたいのは、我々はチームメンバーを最も大切にしているということです。

なぜなら社員こそが全ての成長および前進の源泉だからです。”work hard, play hard”といいますが、弊社ではワーク・ライフ・バランスを重要視しており、しっかり会社に貢献し、しっかりバケーションも取る、ということを推奨しています。そして何よりも、人生を豊かに変えていく仕事に就くことほど、充実したことはないと思います。

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