<会社紹介>
全世界で年間108億米ドルの売上を誇り、100以上の国と地域に広がる外資系企業。200以上の自社製品をディストリビューターを介したダイレクト・セリングで販売。日本アムウェイは1979年に誕生し、2015年の売上は988億円超に上る。
1. これまでのキャリアパスをお話いただけますか?
1997年に新卒で日系の大手化粧品会社へ入社し、その後は外資系大手製薬会社、外資系複合グループ企業、前職では日系の大手製薬会社にお世話になりました。これまで担当した製品はシャンプーなどの消費財から、OTC医薬品(一般用医薬品)、アルコール、サプリメント、健康食品など多岐に渡りますが、一貫してブランドマーケティングに携わっています。
2. では現在の仕事内容を教えてください。
アムウェイは健康食品、化粧品、消費財、家電などの幅広い商品を約350アイテム扱っており、ニュートリション、ビューティー、ホームリビングの3つの部門に分かれています。私はマーケティング全般を取り仕切る立場ですので、売上責任だけでなく、どのようにコミュニケーションしていくかという課題にも取り組む役割を担っています。
製品の魅力を伝えていくためには、実際に化粧品をタッチアップしたり、アムウェイの製品を使って料理したり、といった「体験」が必要であると考えています。渋谷にある日本本社をはじめ、全国7か所にアムウェイ・プラザという施設があるのですが、そこでカフェ、クッキングスタジオやショッピングエリアを設けることで実際に商品を体感していただくことができるようになっています。
こういった体験の提供、ブランディング、コミュニケーションの3つを統合し、ディストリビューターのビジネスをサポートしつつ、最終消費者の顧客満足に繋げる仕事です。
3. 御社はディストリビューターの方々を介した販売形式を採用していますが、他社とのマーケティングの違いを教えてください。また、製品の魅力について教えてください。
最初に申し上げると、マーケティングが違うというよりかは、対象となるお客様が他社と異なります。マスマーケティングとMLM(マルチレベルマーケティング)を比較すると、マスの流通過程は営業担当→卸業者→小売業者→最終消費者の順にたどり着きますが、アムウェイの場合は基本構造こそ同じであるものの、ディストリビューターに対するマーケティングになります。彼らには4つの役割があり、最終消費者、リテーラー、ホールセラー、そしてセールスフォースというすべての顔を、場所と場面に応じて使い分けています。
【アムウェイ・プラザ内カフェの様子】
マーケターとしては、最終的に消費者に満足・継続いただく、というミッションがあることは変わらないのですが、真ん中にある営業部隊に「売ろう」と思っていただかないといけないので、結局営業にやっていることとディストリビューターにやっていることは同じなのです。
コミュニケーションの仕方としては、「この製品は素晴らしいものです」という流れから、「最終消費者の方にとってメリットがあるものです」ということを説明し、だから「リテールするにも売上がたてられます」といったストーリーをつくっていきます。私はずっとマスマーケティングをしていて7年前にアムウェイに入社しましたが、マーケティングの基本コンセプトは変わらないという認識です。
ディストリビューターのなかには消費者だけの方も、アムウェイを通してビジネスをしている方もいらっしゃいますので、その方達が売りやすい商品になるように、「オンリーアムウェイ」というキャッチコピーを使っています。ドラッグストアのように商品が売れたらマージンが入るように、売った製品によってポイントが還元されて最終的に報酬が入る構造なので、こういった「アムウェイでしか買えない」というお得感は、ディストリビューターの方にとって売りやすく、魅力的なものになっていると思います。
4. アムウェイのマーケティングの面白さと難しさについて教えてください。
【アムウェイ・プラザ内に並ぶ商品】
面白さとしては、弊社はアメリカベースの外資系企業なのですが、私が過去勤めていた外資系企業と比べても、非常に自由度が高いことです。約350の製品のうち8割ほどはグローバル製品で、2割がローカル製品なのですが、日本はグループ全体の中でも3番目の市場で主要マーケットなので、グローバルの新製品を開発する際は日本にまず意見を聞いてくることがあります。
規模だけでなく、日本の消費者は化粧品やパーソナルケアにおいて最もsophisticatedな(洗練された)感性を持っていると認識されているため、日本で通用するものは世界でも通用する、という暗黙の了解がある部分も大きいです。もちろんすべての意見が採用されるわけではないですが、比較的商品開発に関われる点はアムウェイの面白さだと思います。
逆に難しさは、流通の世界でいうならば大手スーパーからオリジナル製品や値引きの要望を受けるように、ディストリビューターの方々からさまざまな要求を受けることです。先ほど申し上げたように彼らは消費者でありながら営業部隊でもあるので、交渉を一歩間違えたら大きな問題になります。
ただ、本来様々な業界から話を聞かなければいけないことも、その人たちに聞けば川上から川下まで一通りわかるので、うまく協力していくことが面白さであり、難しさでもあると思います。
5. ブランドマーケターの仕事の醍醐味はどんなところにあると思われますか?海外出張など英語を使う機会はありますか?
まずは規模も扱う金額も大きいので、仕事の規模が大きいことが挙げられます。二つ目は、自由度の高さが挙げられます。グローバルブランドの文脈の中で自国の顧客に最適な製品やコミュニケーション・プログラム等を開発し、仲間と共にゴールを達成していく。これは何にも代えがたいこの仕事の楽しみです。
最近では薬事法が厳しくなっている中で、どのように弊社サプリメントブランド「ニュートリライト」の”value for money”をつくるかという課題がありました。サプリメントはドラッグストアに行けば安価なものがありますし、人によっては必要ないという方もいらっしゃいます。マスコミュニケーションだと、テレビCMの15秒、30秒のなかにすべてを詰め込みますが、私たちはどうやったら設定した価格でも試してみたいと言ってもらえるかを研究し、ディストリビューターの方々にストーリーやデータをお渡ししています。
その結果、いかに喜んで自ら周囲の人に伝えたいと思っていただけるか、ということがブランドマーケティングの醍醐味であると思っています。英語を使う頻度でいうと、マーケティングチームでは非常に多いです。カウンターパートがあるミシガンや、APAC(韓国と東南アジア諸国)チームとのメール、電話会議をよく行います。海外出張もちろんあります。
6. どんな方が活躍しやすいポジションだと思われますか?
三つありまして、まずはポジティブな方です。マーケティングの仕事をされた方なら同じような経験があると思いますが、ボトムラインにもトップラインにも達成しないといけないですし、予算を下げて売上を上げるという難題を受けたり、突然の変更事項に直面したりします。そういった場面でもネガティブに捉えず、どう次のアクションにつなげていくか、というポジティブな発想ができる方が活躍されると思います。
二つ目は順応性です。冒頭に申し上げたように、同じマーケティングの仕事ではあるものの、まず一緒に仕事するのがディストリビューターの方なのですが、何百人から何千人の前で製品説明をすることもあります。マスマーケティングの世界にいると営業担当に対するプレゼンや、大きなアカウントのバイヤーに説明する機会はあると思いますが、弊社の場合は、バリューを知るために、製品開発者から直接話を聞きたいとご要望を受けることがあります。ただそういった状況でもうまく対応できれば、いい関係性が構築できて、後々「○○さんのためなら」と助けていただくことにも繋がるのです。
三つ目はコミットメントの高さです。何か新しい試みをすると、時には社内から反対が起こることもあるかもしれませんが、本当にそれが良いアイディアで顧客の為になると信じているのであればやるべきですから。
7. ブランドマーケティングで経験を積んだ先に、どのようなキャリアアップがありますか?
まずブランドマーケティングは製品やプログラムを扱う社長の仕事だと思っています。それこそ川上から川下まで色々な気配りや考え方が必要なので、ここできちんとキャリアを積んだ後はマネジャー、ダイレクター、CMOといったマーケティングエリアのキャリアデベロップメントがもちろん期待できます。
ただそれだけでなく、別の職種でも十分通用できる人材になると私は思っています。というのは、基本的にマーケティングは設定したゴールから現状の間にある乖離に対し、課題を一つ一つ探すフレームワークです。課題解決のためのアクションプランが立てられるようになれば、人事、経理、営業といった職種でも通用するのではと思うのです。
8. 他社のマーケティングと異なることで、求職者の方によっては会社がイメージしにくかったり、抵抗を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、そのような方に対し何かメッセージをいただけますでしょうか?
【アムウェイビル外観】
アムウェイというと、なにか特殊な世界を想像されている方もいらっしゃるかもしれませんが、ディストリビューターの方も会社自体もほかと変わらないと思います。むしろ自由度が高く、ここでのマーケティングが一番楽しいと思っています。外資企業のなかでも特にチャレンジングなことができますし、日本企業的な要素もあるので、両方の良さを併せ持っています。私自身、入社前と後でイメージが変わりました。ですからこれからマーケティングを志されている方も、これまで相当深くやられてきた方も、スキルを伸ばすという意味でも、これまでのご経験を生かすという意味でも、これ以上楽しくできるところはないのではないでしょうか。
外部から弊社へ転職してきた社員の大半は大手のビッグネームからの者が多いので、ジュニアの方であればその知見から学ぶことも、アムウェイならではのマーケティングを実践することもできます。ここで培ったスキルは特殊だから他では通用しないと思っているかもしれませんが、将来的に何の問題もありません。
9. 最後に求職者の方に激励のメッセージをお願いいたします。
アムウェイに対しいいイメージ、そうでないイメージを持っている方がいらっしゃると思いますが、ご自身のキャリアデベロップメントをしたい、または力を試してみたい、というのであれば、弊社が提供する仕事の環境や、強いブランド力、開発に携われる機会、そして規模の大きさというのは、外では味わえないものなので是非とも経験することをお勧めします。
会社としてのそのポテンシャルに共感していただければ、是非一緒に仕事をしたいと思っています。安心して頂きたいのは、外からきた私が自分の経験をもとに、外と変わらないと断言できることです。もしご興味があれば、ご応募なさってください。多くの候補者の方々とお会いできることを楽しみにしています。