外資系・グローバル企業インタビュー Vol.14 独立行政法人 国際協力機構(JICA)

1.JICAに入構されるまでのキャリアパスと現在の仕事内容を教えてください。

1998年に新卒で総合電機メーカーに入社し、財務・経理担当となりました。具体的な業務としては、ATMを製造している工場での原価計算や事業部での予算編成などです。経理全般に携わるやりがいのある仕事でしたが、ずっと途上国の開発援助がしたいという想いがあったため、JETROのアジア経済研究所が提供しているスクール(イデアス)を知ったことをきっかけに、2002年に会社を退職し、奨学金制度を使ってアメリカの大学院に留学しました。途上国の開発問題全般に対処する専門家を育成するためのプログラムなのですが、まさにこれだと思ったのです。その後2004年に開発支援ができる就職先としてJICAに応募し、入構する運びとなりました。

当初は途上国の中小企業や民間セクターを支援する部署へ配属され、2009年~2012年まではスリランカ事務所に、2012年~2015年まではウズベキスタンに駐在し、2015年に東京に戻りました。JICAには地域別に事業を担当する部署と、環境・教育・保健医療といった課題別に事業を担当する部署があり、現在私はアフガニスタンとパキスタンを担当する地域別の部署で、主にアフガニスタンへの支援方針の策定や、各プログラムの管理、プロジェクトの組成等をしています。普通の会社に例えると、営業の仕事に近いと思うのですが、相手国の問題を分析し、関係者に依頼や折衝を重ねながら、具体的なソリューションを提案する仕事です。

2.具体的にはどのような課題に取り組まれていますか?

現在、アフガニスタンには大きく三つの課題があります。一つは、保健医療です。アフガニスタンは不安定な治安情勢が続き、公共サービスが十分に行き渡らない状態です。私たちが特に取り組んでいるのが、ポリオといわれる小児麻痺の撲滅です。現在ウィルスの常在国がアフガニスタンとパキスタン及びナイジェリアのみで、アフガニスタンのウィルスの由来がほぼパキスタンの野生株なのですが、UNICEFと協力しながら、ワクチンの供与やワクチン接種キャンペーンなどの支援を行っています。二つ目はインフラです。空港や道路が老朽化しているだけでなく、内戦で損傷されているため、マスタープランに基づいて、首都カブール市を中心にインフラ支援を進めています。三つ目は農業です。農業は、人々の生計を支える基幹作業として非常に重要ですので、灌漑整備や稲作の支援を行っています。

3.これまで特に印象深かった仕事のエピソードを教えてください。

【カブール市内と女性警察官の様子】

必ずしも治安が回復していない中、知恵を出して課題に取り組んでいるので、先ほどの3つは印象深いのですが、その他でいうと、大掛かりな海外留学生プログラムがあります。2011年~2025年の15年間のプロジェクトとして、日本の各大学にアフガニスタンの方々をお招きし、最大750名の方々に農業や工学を学んでいただき、母国の発展に寄与していただこうというものです。また近隣国のイランやトルコで「第三国研修」という研修を行っているのですが、国連開発計画(UNDP)が支援している女性警察官の研修の一部として、JICAのエキスパートや現役の日本人女性警察官が講義をしています。「国創りの基盤は人づくり」といいますので、こういったプログラムを通してお手伝いできるのは印象深いことです。

4.JICAだからこそ体験できることは何でしょうか?

現在は東京での勤務ですが、スリランカやウズベキスタンに駐在し、実際に現地の方々と話し合いながら物事を決めていくことは、なかなかできない経験だと思いました。赴任当時、スリランカは内戦が終わったところで復興が必要でした。北東部を中心に道路整備、給水、畜産など、現場でさまざまな事業を進められたのは、やりがいを感じました。また、ウズベキスタンでは3年ほど駐在し、赴任当時はちょうどソ連から独立して20年が過ぎた頃で、ソ連時代に整備されたインフラの老朽化が進んでいる状態でした。電気は首都圏でも計画停電が起こるほど不安定なのですが、ウズベキスタンの発電方法の9割以上が火力発電で、冬にマイナス20度になったときに停電となると、電力は生命線となります。老朽化した電力や灌漑ポンプを中心に、ウズベキスタン政府と協力し開発に関わる仕事ができたのも、JICAの醍醐味だと思っています。大学院では公共政策を学び、なかでも開発経済学を研究したものの、社会人のバックグラウンドとしては財務・経理だったため、入構時は財務関連の部署に配属されるかと思っていましたが、こういった事業部門に配属され、非常に楽しさを感じています。

5.JICAについてあまり知られていないことや、世間の認識と違うことを教えてください。

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JICAと聞いて一番にイメージされるのは青年海外協力隊だと思います。青年海外協力隊が草の根レベルで途上国の開発に貢献する重要な事業であることは間違いありませんが、JICA全体としては途上国の国創りに関わるコンサルテーションをしています。またサービスをデリバリーする上で、大きく三つの柱があるのですが、一つ目は技術協力で、日本の持つ技術や知見を途上国にお伝えするということです。二つ目は、有償資金協力です。返済が可能な国や、大掛かりなインフラ整備を要する国に対しては、自助努力という意味でも、ローンでインフラ整備などを支援しています。三つ目が無償資金協力です。脆弱性と貧困率が高い国には、無償で学校建設など行っています。その他には、途上国の課題解決に取り組みたいと考える中小企業が途上国に進出する際の橋渡しをしています。途上国政府との関係が非常に重要なので、手続き面のサポートだけでなく、ビジネスの枠組みづくりにも関わることがあります。

6.職場環境として、民間企業との違いがあれば教えてください。

途上国支援をしたい、という志をもった人が集まっているので、いい人が多いと思います。理不尽なことをいう人もいないですし、働きやすい環境です。またこれは時代によるものかもしれませんが、ワークライフバランスといいますか、プライベートと仕事を両立する意識を持った人が多く、クラブ活動に参加している人もいるようです。私も介護休業を取得したことがありますが、3か月強休みを取得しました。その際はスリランカ駐在中で駐在人数も少なかったのですが、上司も同僚も理解を示して送り出していただきました。その他ですと、育休・産休を取得し、職場復帰する女性はほぼ100%で、男性もこれらの制度を取得する人が増えてきています。

7.どういったバックグラウンドの方が働いていらっしゃいますか?また英語以外で活躍できるスキルセットは何でしょうか?

非常に多種多様なバックグラウンドで、前職で、商社、銀行、マスコミ、メーカーといった様々な経験をしている人が働いています。人と深く関わる仕事であり、途上国政府関係者、支援対象の方、日本の省庁関係者と話し合いをするので、コーディネーション力やコミュニケーション力が必要です。全体像を描いて折衝できるスキルが重要だと思います。

8.求職者の方にメッセージをお願いいたします。

国創りに携われることは、とてもやりがいがあり、新しいことにもチャレンジできます。私の場合はスリランカ、ウズベキスタン、パキスタン、アフガニスタンにチャレンジできました。常に新しいことを学ばなければならず大変ですが、前職で培った財務・経理の知識や考え方など、自分のバックグラウンドを活かすことができています。組織がその人のスキルを活かそうとする風土ですので、社会にインパクトを与えたいと考える方には相応しい環境だと思います。私自身、プロジェクト関係者から途上国政府の上層の方まで様々な方々と一緒に仕事をするなど、貴重な経験をさせていただいているので、有り難いことだと思っています。

 

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