外資系企業では要注意!?出身国で異なる時間の感覚

日本と海外では時間の感覚が異なると言われているのをご存じですか?

外資系企業で働いた方などから「『今日中』のはずが週明けに納品された」「『5分後』と言われたのに集合したのは30分後だった」などのエピソードを耳にした経験があるかもしれませんが、自分には関係ないと考えている方も多いでしょう。
しかし、日本の外国人労働者数は過去最高を更新し続けており、今後海外出身者と働く機会は増えていくと予想されるため、海外出身者と働く機会が絶対に無いとは言い切れません。

時間に関するトラブルを避けるためにも、出身国によって異なる時間の感覚について知っておきましょう。

時間の感覚を決めるのは文化と価値観

時間の感覚は、文化や価値感といった様々な要素の掛け合わせによって決まるとされています。

外資系企業やグローバル企業を中心に、日本国内でも”国” “文化” “価値観”の異なる人と交流する機会が増えているため、それぞれの要素を知識として覚えておいてください。

ポリクロニック文化とモノクロニック文化

アメリカの文化人類学者エドワードホール(Edward Twitchell Hall, Jr)は「時間感覚は文化の違いから来ている」という考えを持ち、国や民族による時間感覚の違いを「ポリクロニック文化」と「モノクロニック文化」の2つの考え方で説明しています。

  • ポリクロニック文化:時計時間をさほど重視しない
  • モノクロニック文化:時計時間に厳密に従う

それぞれの特徴を簡単に解説します

ポリクロニック文化圏では時間の優先順位が低い?

ポリクロニック文化圏の出身者は、同時に複数のタスクに取り組むことが一般的で、時間や仕事より周囲との関係を重視すると言われています。南欧の一部の国や南米、中東などが代表例です。
時間が循環的で周期的なものとして理解するポリクロノリズムからきており、「時間を柔軟に使う」「瞬間の重要性を強調する」といった傾向があります。

外資系企業などでポリクロニック文化圏の出身者と同じプロジェクトに参加する場合、タスクの締め切りには注意した方が良いかもしれません。仮に「〇月●日の▲時」と指定しても、締め切りより優先順位の高い要件(仕事以外も含む)が入った場合に守られないおそれがあるからです。

モノクロニック文化圏には日本が含まれる

モノクロニック文化圏の出身者は、一つのタスクに集中して取り組むことが一般的で、時間を厳格に守ることを重要視します。日本やドイツなどが代表例です。時間を直線的かつ一度に一つのことに集中して使うモノクロノリズムからきており、「予定やスケジュールを立てて時間を管理する」傾向があります。
そのため、異なる国であっても、モノクロニック文化圏の出身者同士は待ち合わせや締め切りのトラブルが起きにくいと言われています。

時間の価値観

時間の概念が「お金」と密接に結びついた国の出身者にとって、貴重で限られた時間を効率的に使うことが重要です。彼らは限られた時間を浪費しないようスケジュールや約束の時間を厳守する傾向があります。特徴だけで言えば、前述のモノクロノリズムとの共通点が多く見られます。

一方、時間が「空気」のように目の前にたくさんあると考える国では、時間に柔軟性を持たせるのが一般的です。それらの国の出身者は時間を消費する感覚がないため、スケジュールを厳密に守らない傾向があります。
前述のポリクロノリズムとの関連は定かではありませんが、仮に、”時間に柔軟性を持たせる国”かつ”時間の優先順位が高くない(ポリクロノリズム)”の組み合わせが起こることを想像すれば、一緒に仕事をするのが難しいと考える日本人は多いでしょう。

ただし、個人の価値観に左右されるおそれがあるため、一義的に決めつけないよう注意が必要です。

「5分でやります」はニュアンスの表現

ポリクロニック文化圏に分類されるスペインや中南米では、「5分でやります」という表現をする場合があります。これは文字通りではなく「すぐにやります」というニュアンスの表現です。
「すぐに」は主観的なものを表しており、多くの場合において日本の「すぐ」よりも許容範囲が広い傾向があります。「5分で」と言われて実際には30分以上かかる場合があるため、ニュアンスの表現の「すぐにやります」をそのまま受け取らないよう注意が必要です。

また、「8分で」や「10分で」といった言い換え表現もあります。「8分」「10分」もニュアンスの表現のため、すぐにはできないが1時間はかからない場合などに使用されます。

なお、「5分」「8分」「10分」の使い分けには個人差があるため注意しましょう。

「今日中にやります」は今日中に終わるわけではない

前述の表現のほかに、「今日中に」や「今週中に」などの表現も使用されます。

仮に「今日中」と言われた場合、日本の感覚では「頑張って残業して夜中の12時までには出来るんだろう」などと受け取ってしまいがちですが、それはあくまでニュアンスの表現です。
就業時間を過ぎた仕事は翌営業日または次週に持ち越される傾向があるため、期待している期日を過ぎてしまうおそれがあると念頭に置いておきましょう。

「日本式の時間」と伝えることが擦り合わせのコツ

時間に対する考え方が違う例として、キャリアクロスの元スタッフの体験談を紹介します。

以前、南米のある国に出張した際、日本に出張経験がある日本通の取引先の人をビジネスディナーに招待しました。「19時にレストランで」という私の指定に対して、「それは日本式の時間か、当地式の時間か」と返答が返ってきたことが印象的でした。「日本式の時間」と伝えると、その人は指定の時間の30分前に来て待っていました。私より早く着くとは思っていなかったので、とても驚いたことを覚えています。

このエピソードのポイントは、「日本式の時間」と伝えて感覚を共有したことです。仮に”19時”という時間の指定だけであれば、待ち合わせの時間に来なかったかもしれません。
“時計通り”を大切にする日本とは違い、”時計通り”を大切にしない国では、時間を時計で計らないことがあるからです。時計を守らないと目くじらを立てるより、時計で計らない人もいると理解した上で上手く付き合うコツを知っておいた方が、異なる感覚を持つ相手と建設的な関係を築くうえで重要だと覚えておきましょう。

まとめ

ここまで時間の感覚の違いについて解説してきましたが、注意したいのは「何が良くて何が悪い」という主旨の話ではないということです。冒頭で触れた通り、今後海外出身者と働く機会を得た際、今回の話を思い出していただければ幸いです。

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