給与交渉のコツ
著:オスカー・ジョンソン (訳:キャリアクロススタッフ)
昇給交渉はそれほど難しいものではないですが、年収アップを目指すには避けては通れないステップです。一般的に、入社後には給与規定によって予め給与額が決まってしまうため、その決定が出される前、つまり採用決定後こそが、今後を決定付ける給与交渉の最終チャンスと言えます。それさえ乗り越えてしまえば、次の昇給交渉はよりスムーズに済むでしょう。
初任給交渉にしても昇給交渉にしても、まずは下調べをすることが大切です。交渉の下準備として、そのポジションの市場価値、平均年収を知ることです。ただし、年収の水準は、企業規模やその所在地によっても違いが出ますので、同じような条件の企業を対象に調査しましょう。また、可能なら、社内で同様のポジションにいる同僚や、友人、同じような分野で働く知り合いに聞いてみるのも良いでしょう。
次に大切なのが、あなた自身の会社での価値です。一般的に、あなたと同等のスキルや経験を持つ人材に対しては、どれくらいの需要があるのかを把握しておくと良いでしょう。また、採用されようとするポジションの重要性について、きちっと理解していることを示しましょう。それと同時に、あなたが他人よりもどれだけ秀でているかをアピールすることも忘れないでください。

このほか、勤務評定や、目標達成実績、会社や部署に貢献してきた実例を示せると良いでしょう。あなた自身、または、あなたのマネージメントするプロジェクトが、会社の収益向上に貢献した場合、その貢献度の金額、数値が分かる資料があれば、さらに説得力があります。
初任給交渉の場合も同様に、過去の実績を提示し、あなたが持つスキルや経験がいかにその職務に有益であるかを示すことで、交渉を成立させることができます。その他、関連業界での有益なコネや知識など、自身の財産が会社にもたらす有用性についても強調しておきましょう。交渉時期もまた、自分に見合った給与額を得るには非常に重要な要素です。
「タイミングがすべて (Timing is everything)」と言われるように、昇給を望むのであれば、上司に話を持ちかける前に、日々増え続ける責務や、仕事の生産性の面で成果を証明できるまで、じっとその機会を待つことです。その上で、会計年度末、あるいは次年度予算が決定される前や給与設定がされる前などに、昇給を申し出ることです。また、昇給を目指すことでモチベーションも高まり、さらに好成績を達成できるかもしれません。

給与交渉は、人事担当者ではなく、まずはあなたの直属の上司に持ち掛けましょう。その際、上司が、人事担当や関係者と、後で話をしやすいように、要求を書面で提出すると良いでしょう。どんなにあなたが昇給に値していても(値していると自分や上司が思っていても)、企業としては、簡単に昇給を認めることはでき無いものです。日系企業であれば、「給与交渉を要求してくる悩みの種」として難色を示すこともしばしばありますので、この交渉がスムーズに進まない可能性があることは、留意しておいてください。
さて、初任給交渉は、昇給交渉と多少の違いはありますが、「タイミング」は同様にして重要です。面接では決して、給与の話題を始めに切り出さないようにしましょう。キャリアコーチであり、『Negotiating Your Salary』の著者でもあるジャック・チャップマン(Jack Chapman)氏によると、給与交渉は「採用企業側が正式な内定を出すまで待つ」というのが第一ルールなのだそうです。なぜなら、採用されようとする職の企業的価値や可能性をあなた自身はこの段階で知り得ないからです。
面接官からの「あなたの希望給与は?」という質問に対して、チャップマン氏は、“面接官を苛立たせずに回答を引き延ばすこと。それには、臨機応変に対応する技が必要だ” と言います。つまり、このような質問に対する理想的な返答としては、「もう少し仕事内容について知りたいのですが。」、または、「もう少し考える時間が必要なのですが。」といったものになるでしょう。しかし、そうは言っても、最終的に、自身の事前調査を元に、できる限り高い給与額を切り出すのは、採用側ではなく、あなたです。
さて、次に交渉の切り出し方です。交渉の始めは満足できる金額よりも少し高い額で切り出します。そして、あまり余計な話をしないようにことです。「はい/いいえ」で答えられる質問ではなく、自由に回答できるような質問を採用側に問いかけて、 大部分を相手に話させるように持っていきます。自分が話をするときには、事実だけを語ることに専念します。リサーチから得たこと、経験者としての自己査定、他社からオファーを受けている仕事に関してなどです。
最後に、賃金に関しては各企業、経営上の予算制限とポリシーの為に、雇用者が柔軟に決定できないということも心に留めておきましょう。そのようなケースでは、ボーナスや歩合のアップ、さらに充実した健康保険や退職金プラン、有給休暇日の追加やその他福利厚生など待遇面での交渉を持ちかけることも可能性としては考えられます。
